動画広告への注目が高まっている中、自社でも動画広告に挑戦したいというマーケターもいるでしょう。ここではそんな動画広告初心者が押さえておきたい動画広告の種類や動画広告の市場規模、運用するときの注意点などを紹介します。
目次
動画広告とは
動画広告とは、静止画やテキストではなく、動画を活用した広告のことです。Webサイト、またYouTubeやFacebook、InstagramなどのSNSで多く活用されています。
動画広告が注目されるのには、広告自体の特徴と社会環境の2側面から、以下の通りいくつか理由が挙げられます。
・静止画やテキストに比較して視聴者に印象が残りやすい
・効果検証がしやすい
・スマホやタブレットなどのデバイス利用者の増加
・Wi-Fi環境や5G到来などネット環境の向上
特にWi-Fi環境や5Gの到来などで大容量通信が可能になり、高画質動画を配信しやすくなったことから、今後はより動画広告の需要が高まると予想されます。
動画広告を運用する目的
ここでは動画広告を運用する目的について紹介します。
認知拡大
まずは商品・サービスの認知拡大を目的にした動画広告です。商品・サービスの認知拡大の場合は、視聴者の興味を引く内容の動画を作成し、商品・サービスに気づいてもらう、知ってもらうことが重要となります。
商品・サービスの認知拡大を目的に出稿される動画広告は、インフルエンサーや有名人など、影響力のある人物を起用したり、実際に商品を使用してもらい、使用感を発言・拡散してもらうのが効果的です。
ブランディング
ある程度のある商品・サービスについては、ブランディングを目的に動画広告を配信する場合もあります。その際は商品・サービスのイメージを伝えることが重要になります。企業のイメージを伝えることで、商品・サービスへの信頼・安心にもつながるでしょう。
ブランディングを目的として動画広告では、商品に対する熱いメッセージや企業のコンセプトを端的に伝えるのが効果的です。
売上促進
商品・サービスの売り上げ促進を始め、メルマガ登録や資料請求などが目的の場合は、イメージを伝えるのではなく商品・サービスの特徴、購入するメリット、使用感などを伝えることが重要です。実際に商品を使用したユーザーのリアルな声をもとに動画を制作することで、視聴者に商品やサービスの信頼感や購買意欲が高められます。
動画広告のメリット
動画広告を配信するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
静止画やテキストより多くの情報を伝えられる
動画は静止画やテキストよりも多くの情報を伝えることができ、視聴者に印象を残すことができます。具体的には、静止画やテキストでは表現が難しい商品の使い方や使い勝手の良さの説明、サービスでは実際にサービスを行なっている状況などを伝えることができます。そのため、動画広告は具体的な説明、イメージなどの多くの情報量を伝えるのに適した広告と言えます。
サービスや商品のストーリーが伝わりやすい
どうのような思いでこのサービスを行なっているのか、どのような工程で商品が作られているのかなどサービスや商品のストーリーを伝えると印象は強くなり、心が動かされやすくなります。動画では静止画やテキストでは難しいストーリーを伝えられやすいため、視聴者の心に響く広告が作りやすいメリットがあります。
施策後の効果検証がしやすい
効果的な広告運用には効果検証が必要です。動画広告はインプレッション数、クリック数、再生数、再生時間、コンバージョン数など効果が定量的に把握できるため、効果検証がしやすいというメリットがあります。目標の数値に達しているかの確認とともに、例えば再生時間が短ければ視聴者が離脱した要因を見つけクリエイティブの改善を検討するなど、効果的な動画広告にするためにPDCAを回すことができます。
動画広告のデメリット
動画広告にはデメリットがある一方でデメリットも存在します。動画広告を運用する場合は、以下のようなデメリットについても留意しておきましょう。
制作に手間とコストがかかる
動画広告の制作には手間がかかります。クリエイティブの企画から撮影、編集までを含めると、静止画の広告より時間がかかりやすい傾向にあります。制作に関わる人や必要なツールも多いため、コストも比較的高くなりやすいでしょう。
最後まで視聴されるとは限らない
動画広告はユーザーに最後まで視聴してもらえるとは限りません。動画の後半に訴求ポイントを設けている場合は、せっかく広告を出稿しても効果が得られにくい可能性があります。この点は、ユーザーの目に入った時点で訴求が完了する静止画の広告との大きな違いです。
ユーザーに嫌悪感を抱かせる可能性がある
動画広告は多くの場合、ブログや動画などユーザーが視聴したいコンテンツに挿入されます。そのため、動画広告は基本的にユーザーにとって好ましいものではありません。したがって場合によっては動画広告を出稿することによって、ユーザーに嫌悪感を抱かせ、企業や商品・ブランドイメージを損ねることがあります。
動画広告の種類
では、代表的な動画広告を3つ紹介します。
インストリーム動画
インストリーム動画とは、プラットフォーム内での動画再生前後や途中に流れる広告のことです。動画広告の中でも最も利用されています。
YouTubeの動画再生中に流れる広告が代表的で、5秒後にスキップできる広告とできない広告があります。最近はスキップのできない「バンパー広告」が流れる広告も多いですが、YouTubeで流れる動画広告のほとんどはインストリーム動画広告です。
インストリーム動画広告の配信のタイミングは3種類あります。動画の再生前に広告が流れるプレロール、視聴している途中に広告が流れるミッドロール、動画の再生後に流れるポストロールです。
プレロールは動画本番前に流れるため視聴率が高くなります。そのため認知獲得の目的で活用するのがいいでしょう。
ミッドロールは動画の途中で広告が流れるため、動画の続きをみたい視聴者にとっては離脱しづらいタイミングです。だからこそ視聴者の興味を持って視聴できる広告を配信したいものです。
ポストロールは動画の再生後に流れるため離脱率が高くなります。離脱率を減らすためには動画と親和性のある広告を配信し、コンバージョン獲得を狙いましょう。
インバナー動画
インバナー動画広告とは、各プラットフォームの広告を掲載する枠に配信される動画広告のことです。動画広告の種類の中でも、配信後のスキップができないタイプの広告です。
インストリーム広告のように、動画再生中に流れることはないためプロモーションできるユーザーは少なくなります。
しかしインバナー動画広告は、自社のサービスや商品を知ってほしい、あるいは利用してほしいターゲットユーザーに動画広告を配信できるメリットがあります。
また、インバナー動画広告はユーザーの興味があるもの、必要としている広告を配信してくれるのでコンバージョン率が高いです。
見てもらえる回数はインストリーム広告より減りますが、コンバージョン率が高いのは魅力的です。
インリード動画
インリード動画広告とは、記事中にある自動で再生される動画広告です。よく、ニュースのまとめサイトやアプリで記事を閲覧していると、途中で動画広告が流れることはありませんか。それがインリード動画広告です。
インリード動画広告は、ニュースのまとめサイトやアプリを利用している全てのユーザーに視聴してもらえるわけではなく、画面に正しく表示されなければなりません。
しかしインリード動画広告は、ユーザーが見たくなるような工夫が施されている広告が多いため、記事コンテンツをしっかりと読み込むタイプのユーザーに対して効果的なプロモーションが可能です。
オススメはインストリーム動画広告
上記で紹介した動画広告の種類の中でも、動画広告を初めて運用する方にはインストリーム動画広告がオススメです。理由はプロモーションをかけられるユーザーが多い方に、ユーザーにとって気になる広告に対するCTAが高いからです。
動画広告を受動的に受け取るユーザーが多いですが、たくさんのユーザーにプロモーションをかけられることは魅力的です。
例えばユーザーが「YouTubeの動画再生中に流れるで動画が邪魔!」と思っていても、自分に関係する広告だと、広告を視聴する時間が伸び、行動を起こす可能性が高いのです。
動画広告を始めたい方はまずはインストリーム動画広告から始めてみましょう。
動画広告の主な課金形態
動画広告には「CPV」「CPM」「CPC」の3種類の課金形態があります。それぞれの課金形態について解説します。
CPV
CPVは動画の再生に応じて課金させる形態です。「30秒の視聴」「最後まで視聴」など、「再生」の定義は媒体によって異なります。条件を満たさなければ費用は発生しないため、費用対効果が高い形式といえます。
CPM
CPMは、動画広告の表示回数に応じて課金される方式です。1,000回の表示ごとに費用が発生します。他の形式と比較して、コストを抑えやすい形式です。
CPC
CPCは、ユーザーが動画広告をクリックすると課金される形式です。興味を持ったユーザーがクリックするため、確度の高いユーザーにのみ広告を出稿することができます。
動画広告を運用する際の注意点
動画広告を運用する際に注意したい点は以下の2つです。
・ターゲットを明確にする
・高品質な動画を制作する
1つ目の「ターゲットを明確にする」は、商品・サービスを活用してくれる人の属性を絞り込むことです。Web広告全般で言えますが、ターゲットが定まっていなければ、効果を得ることは難しいでしょう。
地域や年齢、趣味、ライフスタイルなどで大枠を絞りつつも、商品・サービスを活用してくれる人のペルソナを作成しましょう。そのペルソナが抱える課題を動画に落とし込むことで、興味を引くことができます。
2つ目は、「高品質な動画を制作する」です。ターゲットが好む質の高い動画を制作することが重要です。魅力のない動画を配信しても、すぐにスキップされたり、コンバージョンまで至らなかったりと運用コストのみが膨れ上がってしまいます。
必ずしも、プロに依頼する必要はありませんが、ターゲットに適した魅力ある動画を制作しましょう。
動画広告のクリエイティブを作成するポイント
動画広告のクリエイティブを作成する際に意識していただきたいポイントを紹介します。
メディアの特性を理解する
配信するメディアの特性に応じてクリエイティブを作成することが大切です。メディアによってはTVCMのような作り込んだ動画ではなく、商品ラインナップを順番に見せていく動画の方が反響が高いこともあります。他のメディアに適したアスペクト比でクリエイティブを作成するといった対策も、ユーザーから敬遠されない動画広告を作成するために大切です。
モバイルに最適化する
昨今ではネット利用者のほとんどがスマホを利用しています。そのため動画広告はモバイルデバイスに最適化されたクリエイティブを優先的に作りましょう。モバイル端末はパソコンよりも画面が小さくなるため、出来るだけ訴求は1メッセージに留め、大きく提示するのがポイントです。
開始3秒で惹きつける
多くのユーザーが開始3秒以内に動画を離脱すると言われております。そのため開始3秒でユーザーの関心を惹きつけることが重要です。特殊な演出は必ずしも必要ではありませんが、目を引くギミックを挿入するなど、インパクトの強い要素を動画開始の早い段階で見せる必要があります。